メリット:相続税対策
(1)相続人を増やして税率区分を下げる
相続税は累進課税の段階税率になっていますから、一人当たりの相続額を少なくして低い税率区分にあてはまれば、
納税額はがくんと減ります。また相続人が一人増えるごとに基礎控除額が1,000万円追加されます。
ということは、相続人の数を増やせば全体の相続税を減らすことができるわけです。
そこで出てくるのが「養子縁組制度」によって相続人を増やすという方法です。
養子縁組をすることで、相続人の相続分が細分化されます。
民法上は、養子縁組は何人でも可能ですが、相続税法では、実子がいる場合には養子は何人いてもまとめて一人になり、
1,000万円の基礎控除額の加算が認められます。
ただし、実子がいない場合は2人まで認められ、基礎控除額は2,000万円になります。
このほかにも、生命保険と退職金の非課税枠(法定相続人一人500万円)が増えます。
(2)所有財産の評価額を下げる
土地・建物は、利用状況に応じて財産評価基本通達により評価減があります。
更地で土地を持っている場合は、そこに建物を建てることで相続税評価額を大きく下げることができます。
中でもアパートやマンションを建てて人に貸すことは、多くの地主さんがとっている典型的な相続税対策です。
これは所得税、固定資産税の節税にもつながります。
また小規模宅地等は50パーセントの評価減がされますが、
一定の条件を満たすと、特定居住用小規模宅地として80パーセントの評価減になります。
この条件にあてはまるように持っていけば土地の評価額が下がりますから、相続税額も下がります。
(3)返済可能な借金を多く作る
借入金の残額は全額債務控除となるので、相続税を大きく減額する効果があります。
更地に建物を建てる時に借金をすると、さらに効果的な相続税対策となります。
ただしその借金は返済可能なものでないと、返済に苦労することになります。
返済可能な範囲で借金を多く作るのがいいということになります。
(4)生前贈与をして財産を減らしておく
財産を自分の名義で持ち続ければ、自分が死んだ時には当然ながらまるまる相続税の課税対象になります。
だから生前に手放せるものは手放すようにした方がいいのです。
子供や孫に生前贈与して、財産を減らすことを考えてみてください。
贈与税は高い、という先入観があるものですが、年間110万円までの基礎控除のほかに活用できる特例がいろいろあります。
ただし相続が発生した時点から3年以内に贈与されたものは、相続税の対象になってしまいます。
だからなるべく早く生前贈与を始めた方がいいのです。
メリット:長期的に安定した家賃収入
賃貸住宅の建築による相続税の節税効果(1)
賃貸住宅を建築すると相続税が安くなるというお話をきかれたことがあると思いますが、
それはどのような仕組みであるのか皆さんご存知でしょうか。
それは賃貸住宅を建築するとその土地と建物は相続税を計算する上で次のように評価され
実際の価値よりも大幅に低く評価されるためです。
土地 | 家屋 |
自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合) | 固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合) |
※借地権割合は地域により異なります(住宅地の場合の多くが50%か60%です) ※借家権割合は全国統一で30%とされています
※家屋の固定資産税評価額は市役所が決定しますが、建築費の約6割程度が目安になります
賃貸住宅を建築した場合の相続税評価額
仮に、下記のような相続税評価額が5,000万円の更地の土地に、
3,000万円の資金を投資して賃貸住宅を建築した場合には、次のようになります。
■土地の自用地評価額
路線価 10万円×500㎡=5,000万円
この土地に建築費3,000万円の賃貸住宅を建築
賃貸住宅が建築され、入居開始した後の相続税評価額
土地 5,000万円×(1-借地権割合60%×借家権割合30%)=4,100万円
家屋 家屋の固定資産税評価額が1,800万円に決定されたと仮定すると
1,800万円×(1-借家権割合30%)=1,260万円
つまり、5,000万円の土地に賃貸住宅を建築することにより、土地の評価額が18%下がり、4,100万円の評価額になります。
また、3,000万円を投下して建築した建物は、3,000万円の価値があるにもかかわらず、
相続税を計算する際には1,260万円で評価されます。
その結果、この土地の評価の減少と建物の評価差額を考慮すると、建築前と建築後では2,640万円もの評価差額が生じることになります。
・ 建築前 土地5,000万円+ 現金3,000万円=8,000万円
・ 建築後 土地4,100万円+ 家屋1,260万円=5,360万円→評価差額2,640万円
現状の相続税法でこれほど相続税を下げるものはありません。
しかし、所有形態やその後の入居率により相続税の節税効果を十分享受できないケースもあります。
アパート経営のメリット
・長期的な安定収入 ・私的年金を確保する ・固定資産税 ・相続税が節税できる ・優良資産形成
土地売却について
土地を売却して現金化する…
●売却するのも立派な活用法
土地は、持っているだけでは資産になりません。むしろ負担になることもあります。
保有している間は、固定資産税や都市計画税がかかりますし、将来的には相続税がかかる可能性もあります。
土地の活用で収益をあげることができればよいですが、立地や形状によっては、活用が難しいこともあります。
そのような場合、売却によって現金化し、その現金の使途を改めて検討するほうが効果的かもしれません。
負債がある場合、相続税の納税資金が必要な場合など、土地売却によって状況が大きく改善することもあります。
「売却」も立派な活用法の一つだと心得てください。
●納得の価格で円滑な売却を
大切に守ってきた土地ですので、適正な価格で売却したいと考えられるのは当然です。
また、あまり時間をかけずに売却したいという思いも多くの方が持っていらっしゃいます。
こうした要望を実現するためには、不動産会社と以下のようなプロセスで売却を進めます。
等価交換の仕組みで建物建築
●少ない金銭負担で、新築建物付土地に
土地に建物を建てた上で、売却する方法です。ただし、建物の建築資金を用意する必要はありません。
「有効活用できる土地だが、リスクをとるのが不安」という方に向いています。
●等価交換の仕組み
土地を提供して、その土地に建物を建て、地主様は建物のうち「提供した土地に見合った分」を取得する方式です。
具体的には、
(1)土地を不動産会社に売却する
(2)不動産会社はその土地にマンションを建てる
(3)土地の売主は、建ったマンションの一部を取得する
という形になります。実際は、建物を取得する際に「土地の共有持分」も取得することとなるので
「土地を提供し、建物の一部プラス土地の共有持分を取得する」こととなります。
土地の一部を手放すことになるが、高収益を望む土地所有者様向き
デベロッパーなどの事業パートナーが建設資金を負担してアパート・賃貸マンションなどを建設。
土地所有者様と事業パートナーが、完成した建物の床面積を土地代と建設資金の割合に基づいて分け合う方式です。
収益性 無借金なので、多額の賃貸収入が得られる。収益性は高いが、土地の一部を手放すことになる。
節税効果 相続税の軽減は可能だが、多額の所得税、住民税がかかってくる。
駐車場経営も差別化の時代
●駐車場経営にも多様な種類
一口に「駐車場経営」と言っても、さまざまな種類があります。
周辺環境や面積、地形、さらには土地活用の目的も含めて検討する必要があります。
・駐車場の種類
駐車場には、大きく分けて「平面駐車場」と「立体駐車場」があります。
平面駐車場は、一般的な駐車場で、アスファルト舗装を行ったもの、屋根付のもの、シャッター付のものなどがあります。
立体駐車場は「自走式駐車場」と「機械式駐車場」に分かれます。
機械式駐車場は、「垂直循環式」「多層循環式」「エレベーター式」「多段式」の4つにさらに細分化されます。
・駐車場のタイプ別比較
それぞれのタイプの駐車場には、以下のような特徴があります。
「収益拡大を目指すか」「他の活用法を固めるまでの“つなぎ”とするか」など、状況に合わせた選択が必要になります。
タイプ | 特徴 | ||||||
平面駐車場 |
一般的な平置き式駐車場。 いわゆる青空駐車場が多い。 |
初期コスト・維持管理コストが安い。 | |||||
立体駐車場 | 自走式駐車場 | 所定の場所まで自ら運転するタイプ |
維持管理コストが安い。 プレハブ式にすれば初期コストも抑えられる。 |
||||
機械式 駐車場 |
垂直循環式 |
垂直に配列された多数の運搬機が 循環移動するタイプ |
初期コスト・維持管理コストとも高いが、 多くの収入が見込める。 |
||||
多層循環式 |
多数の運搬機を2層以上に配列し、 循環移動するタイプ |
初期コスト・維持管理コストとも高いが、 多くの収入が見込める。ビルに付帯する形が普通。 |
|||||
エレベーター式 |
自動車収納スペースにエレベーターを 組み合わせるタイプ |
垂直循環式・多層循環式に比べれば、 コストは低く抑えられる。 |
|||||
多段式 |
駐車スペースが2~4段になっていて、 上下左右に車を移動させて格納するタイプ |
初期コスト・維持管理コストが比較的安い。 |
ロードサイド店舗運営
立地を活かしてロードサイド店舗運営
●幹線道路沿いの広い土地に最適
一定の広さを持った土地であっても、駅から遠い場合はアパートやマンションを建てても入居率が悪い可能性があります。
しかし、幹線道路に面した、いわゆる「ロードサイド」の土地であれば、駐車場のついた大型店やファミリーレストラン
などを誘致する形態は有望です。
定期借地権
●定期借地権とは
「土地は一度貸すと、半永久的に戻ってこない」と言われてきました。
これは旧借地法のもと、借地権が借地人に対してきわめて強い保護を与えたからです。
そこで、新法では更新規定の適用を受けない期間を確定した新タイプの借地制度、定期借地権が設けられ、
土地利用者を保護し、借地供給が促されるようになりました。
◎定期借地権
新借地借家法によって新たに認められた定期借地権は、文字通り「あらかじめ定められた期間しか存在しない借地権」です。
これまでの、「人に土地を貸すと正当な事由がない限り戻ってこない」という心配がなくなりました。
この定期借地権の特徴は、土地を所有する人と利用する人が別であり、土地所有者は、
「土地は必ず戻るという信頼のもと土地を提供し、保証金・地代という利益を得ることができる」ということです。
また、土地を借りた方は、「一定の保証金もしくは権利金と地代を支払い約束の期間だけ土地を利用できる」ということです。
◎定期借地権の種類
定期借地権には3種類あり、契約の存続期間の長さによって分けられます。
最も存続期間の短い「事業用借地権」は、期間が10~20年まで、郊外型のビジネスなどに向き、用途は事業用に限られます。
「建物譲渡特約付借地権」は、30年以上の期間が設定され、建物買い取り型です。
この場合は30年経つと、土地所有者が逆に建物を買い取ります。
そして「一般定期借地権」は存続期間が50年と一番長く、活用法は自由で、分譲住宅・マンションを建設し、
定期借地権付きで販売する活用法が注目されています。
- ◆土地は必ず返ってくる。
- ◆相続税の納付対策に有利。
- ◆リスクが少なく収支が安定している。
- ◆土地所有者は事業経営しなくてすむ。
- ◆借入金なしで土地活用できる。
- ◆低地の物納ができる。
- ◆売却せずに一時金(保証金)が入る。
- ◆相続税、固定資産税が軽減される。